Claude Codeに役職を持たせたら、ひとり開発の品質が変わった


Claude Code に「青色申告の帳簿システム作って」と頼んだ時、Claude Code は最初、自分で作り始めなかった。

代わりに、こう動いた。

  1. 常駐PM の役で、依頼の中身を分析した
  2. 「これは既存ロールに当てはまらない」と判断した
  3. 採用担当 の役に切り替えて、新ロール「青色申告担当」を設計した
  4. 青色申告担当 の役に切り替えて、税務的正しさを最優先する思考順序で実装した

Claude Code は1個なのに、社内に3つの専門職があるみたいに動いた。これが私の運用設計だ。

なぜ役職を分けるか

ひとつの AI に「全部やって」と頼むと、AI は「平均的に妥当な答え」を返してくる。でも「平均的に妥当」は、専門領域では弱い。

たとえば、私の事業には「経理担当」というロールが既にある。料金設計や請求書の管理をやらせている。これは「攻めの判断」をする役だ。「いくらもらうか」を考える役。

ここに「青色申告の帳簿システム作って」を頼んだら、経理担当が引き受けてくれそうに見える。でも違う。

青色申告は「守りの判断」だ。税務的に正しいか、四方善(先方・顧客・世間・私の全員にとって良いか)に反していないか、税務調査に耐える説明ができるか――攻めとは思考順序の起点が逆になる。

同じロールに同居させると、判断ブレが起きる。だから分けた。

ロール切り替えの儀式

新しい仕事が来た時、Claude Code は毎回これをやる。

  1. このタスクは何の領域か(営業・執筆・帳簿付け・SEO 等)
  2. その領域に最適なロールはどれか
  3. 既存ロールでカバーできるか、新ロールを採用すべきか
  4. 該当ロールのスキルファイルを必ず読み込む
  5. 「【ロール名】」と冒頭で名乗る
  6. そのロール固有の思考順序で作業する

「今回くらい」「実質できれば良い」を作らない。スキルファイルを読み込むトークン消費は、品質保証のための投資だと割り切っている。

今回の流れ

実際にこのプロジェクトで起きたこと。

PM が判断したこと:「これは実装作業だ。PM のままでは品質が出ない。新ロールが要る」

採用担当が判断したこと:「経理担当(攻め)と分離すべき。理由は思考順序の起点が逆だから。新ロール『青色申告担当』を採用する」

青色申告担当が判断したこと:「税務的正しさを最優先。Claude Code が自動化できない工程は『できない』と明示し、手動手順を提示する」

この役割分担は最初から仕組みとして組み込んでいる。プロジェクトの設定ファイル(CLAUDE.md)に「ロール切り替え判定の儀式」を定義してあって、Claude Code は毎ターンそれを実行する。

何がよかったか

正直、最初は「AI 1個に役職を分けて何の意味が?」と思っていた。でも使ってみると、効果は地味だけど確かにある。

  • スキルファイルを読み直すので、「あ、この案件は守り側の判断だった」と毎回思い出す
  • 名乗りがあるので、いま誰の責任で動いているのかが私からも見える
  • ロールごとに「やらないこと」も定義してあるので、暴走しにくい

人を雇わない私にとって、これはひとりブレストの代わりというか、ひとり会議の自動化に近い。

真似する人へ

私のチーム運用ルールでは、スキルファイル(ロール定義)は40〜60行に収めるのを推奨にしている。実際は3倍に膨れているスキルもあって守れていない。これは別の記事ネタ。長いと毎回の読み込みコストが重くなるので、サイズの抑え方は今後の課題。中身は「思考順序の固定」と「やらないこと」の2つを必ず入れる。これだけで、AI 1個でも複数の専門家がいるみたいに動く。

CLAUDE.md でロール切り替えのルールを毎ターン強制すると、サボれなくなる。これも大事。