Claude Codeに「私のやることを減らして」と頼んだら、青色申告の帳簿システムができた
副業で青色申告65万円控除を取るための帳簿管理ツールを、Claude Code に作らせた。
最初に作業時間を見積もったときの試算は「自動でできるのはコピー処理くらい、あとは私が30〜45分の手作業」だった。シート3枚を手で追加して、ヘッダー入力して、ドロップダウンを設定して、GAS(Google Apps Script。Sheetsを自動化するプログラム)を貼り付けて、認可して……というやつ。
その想定でスタートしようとしたとき、私はこう打ち込んだ。
「待ち時間が長くてもいいので、私のやることを可能な限り少なくして」
この1行だけで、Claude Code の動き方ががらっと変わった。
何が変わったか
それまで Claude Code は「人間がやる前提の手順書」を出してきていた。だが制約を伝えた瞬間から、Claude Code 自身が私の Chrome を操作し始めた。
- スプレッドシートを開く
- 拡張機能 → Apps Script のメニューをクリックする
- マニフェスト表示の設定をオンにする
- コードをエディタに流し込む(クリップボードが使えない環境で、ブラウザ内のMonacoエディタのAPIを直接叩いていた)
- 保存ボタンを押す
- スプレッドシートに戻ってメニューから関数を実行する
私が手を動かしたのは結局、Google の認可ボタン(「許可」を押す操作)2回と、サンプルファイルをドラッグ&ドロップする1回だけ。合計2分くらい。
全体の時間配分
- 要件定義とプロンプトの出力:2時間(AIと壁打ちした)
- Claude Code の自動作業中:2〜3時間(私はよそ事をしていた)
- 私が手を動かした実作業:合計2分
「自動化したのに自分も忙しい」状態にならなかったのは、最初の制約1行のおかげだと思う。
学んだこと
AI に「やって」と頼むと、AI は「AI側にとって自然な分担」で動く。たとえばコードを書いたら、貼り付けと実行は人間に渡してくる。それが普通の協業の形だから。
でも「自分の作業を減らして」と明示的に伝えると、AI は普段サボっていた選択肢――ブラウザを直接操作する、APIを直接叩く、エディタの内部APIを呼ぶ――を引っ張り出してくる。
制約を1行で渡す、というのは、人にものを頼む時にも効きそうだなと思った。「やっておいて」と「私がやることを減らして」は表面上は似ているけど、受け手の動き方がまるで変わる。
「やっておいて」だと、受け手は普通の手順で進める。途中で迷えば確認の往復が発生する。「私がやることを減らして」だと、「依頼主の手間を最小化する」が新しい制約として加わるので、受け手は予防的に動く。複数案を用意したり、途中の判断を自分で完結させたりするようになる。
できなかったこと
ひとつだけ、自動化できない壁があった。Google の認可ダイアログ(「このアプリにアクセスを許可しますか?」)の「許可」ボタン。これは Google の仕様上、人間がブラウザで押すしかない。
最初は「全部やってほしい」と思ったけど、考えてみたらこれは正しい設計だ。「あなたが本当に同意したか」を最後にチェックする仕組みがないと、AI が勝手に Google アカウントの権限を広げ放題になってしまう。
人間が押すべきボタンは、人間が押す。それでよかった。
出来上がったもの
Google スプレッドシート上で動く、副業用の帳簿管理ツール。
- マネーフォワードME(家計簿管理ツール)の月次 Excel をフォルダに入れる
- メニューから「CSVを取込む」を実行
- 自動で仕訳候補が並ぶ(変換テーブルで照合)
- 私が確定ボタンを押す
- 仕訳帳に転記される
副業経費と個人支出が混在するので、最後の「確定」だけは人間の判断を残した。ここを自動化すると間違いに気づけない。
来年同じ仕組みを作る時は、このセッションのログとコードをそのまま流用すれば、初回の2時間も短縮できると思う。